インクルーシブヨガ〜誰でものびのびとヨガを〜

インクルーシブヨガ〜誰でものびのびとヨガを〜

インクルーシブヨガのクラスを通じて、誰もが安心してヨガを楽しめる場を提供するFUMI先生(TT3 17期卒業生)。
その活動には子育てや仕事など、ご自身の経験が深く影響しています。

今回は、インクルーシブヨガを始めることになったきっかけや、クラスの特徴や実際の様子、そして今後の展望についてお話を伺いました。


自身の境遇をきっかけに生まれたクラス

― アンダーザライト(以下UTL) でインクルーシブヨガのクラスを始めたきっかけは何ですか?

私の3番目の子供に障害があることがわかり、周囲に同じような状況のママがいない中、手探りで孤独を感じながら子育てをしていた時期があったんです。

そのような状況の中で、HIKARU先生のクラスを受けにスタジオへ行った際、UTLのスタッフから何かクラスをやってみないかと声をかけていただいたのがきっかけです。ちなみにUTLは1人目の子供を妊娠した頃から通っていたので、割と長いお付き合いなんですよ(笑)。

「ぜひ私にやらせてください!」というよりは、声をかけていただいたことに驚いたというのが率直な感想でしたが、障害を持つ3番目の子供がちょうど小学校へ上がるタイミングで心の余裕ができたというか、自分の子育ての状況を受け入れたり、人と人との繋がりにすごく救われたなぁと感じていた時だったので、自分の想いとヨガを融合させたクラスを提供できたら良いなと思い、引き受けることにしました。

当初は、障害のある子どもを育てるママ限定クラスにしようかという話もあがったのですが、「色々な人との繋がりがあってこそ自分の人生が膨らむ」という考えがもともと私の中にありました。そこで、障害の有無に関わらずどなたでも参加できるクラスにしようという結論になり、インクルーシブヨガを立ち上げることになりました。クラスでは私が皆さんの繋ぎ役になることで、参加する方がつながりを感じられる場を作りたいと思いました。

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安心感とつながりを感じられる空間に

― インクルーシブヨガのクラスは、どのような特徴がありますか?

UTLで開催するインクルーシブヨガのクラスは、障害の有無に関わらず誰でも参加できることが特徴です。実は私は「ガイドヘルパー」という視覚障害者に同行するヘルパーの仕事をしていることもあり、いまは視覚障害のある方に1番多く参加いただいていますね。

クラスの冒頭では、私も含め参加者同士で自己紹介を行います。その場に集まったメンバーのことを互いに知ることで、より緊張が解けた状態でヨガに取り組んでいただけるだけでなく、互いのつながりやクラス全体の一体感も感じてもらうことがねらいです。また、初めてヨガをする方でも気軽に参加できるよう、クラス全体を通してリラックスできる雰囲気作りを意識していますね。


インストラクションは特に工夫を凝らしていて、言葉だけで身体の動きを明確に伝えることを心がけています。例えば「手を上げて」と言うと、上に上げる人もいれば横に上げる人もいます。その他にも「あれ」や「これ」という曖昧な表現を避け、目を閉じていても自分の身体のポジションがわかるよう表現し、丁寧に説明します。

シークエンスはダウンドッグがピークポーズになるような構成で、じっくりゆっくりと進めていきます。ダウンドッグで言うと、いきなりお尻を持ち上げてポーズを完成させるのではなく、両手でマットの端を握って上半身の伸びを感じてもらいつつお尻を持ち上げやすくする等、段階的に強度を上げていきます。どの段階でも自分の感覚を気持ちよく味わうことを大切にしていますね。もちろん「いつでも自分のペースでポーズから戻ってきてね」という声掛けも欠かせません。

それから1番の大きな特徴は、参加者の方もインクルーシブヨガの中では繋ぎ役になれることです。これまで何回か継続して通ってくださっている方は、だんだんとポーズの名前や完成形を習得してきているので、その様子が初めて参加する方にとっては良いモデルになっているようです。このクラスでは先生と生徒のような構造でなく、私も参加者もみんながフラットにつながっているイメージですね。

ヨガを思いっきり味わってほしい

ー これまでクラスを開催してきて、印象に残っているエピソードはありますか?

「インクルーシブヨガに参加することで、心身の変化を感じた」という声をいただくことが多く、そのようなお声はどれも印象に残っています。ヨガは医療行為ではありませんが、それでも持病をお持ちの方から「持病の数値が改善した」という報告をいただいたり、「クラスに参加したことで、家でもヨガをやってみようと意欲的な気持ちになった」というお声をいただいた時は、本当に嬉しいです。

私の子供もそうなのですが、障害を持っていると全体のペースに合わせて物事を進めることが難しい場合が多く、出かけられる場所や参加できるコミュニティがどうしても限られてしまいます。ですが、そのような方でもヨガをのびのびと体験できて、身体や心の反応や変化を実感してもらえることが、このクラスの価値なんだと考えています。

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UTLでの学びが活きる瞬間

ー FUMI先生がUTLのRYT200取得コースで学んだことの中で、このクラスで特に役立っていると感じていることはなんですか?

もちろんどの学びも役立っているのですが、特に呼吸法が役立っていますね。やはり呼吸法は誰でも実践しやすいこともありますし、最もじっくり味わえる時間かと思い、呼吸法の講義で学んだことを何度も復習しながら実践しています。呼吸法を実践するだけでも全身が温まったり、心にゆとりが生まれたりするので、インクルーシブヨガでは呼吸にフォーカスして、誰でも気軽にリラックスできる時間を作ることがとても重要だと感じています。

これからも広がるインクルーシブヨガ

― インクルーシブヨガを今後、どのように展開していきたいですか?

現在はUTLスタジオで開催していますが、これからはスタジオだけに留まらず、いろいろな場所にフィールドを広げていきたいです。もし病院や福祉施設などで開催できたら、ヨガをやったことがない沢山の方々にリーチできるのではないかと考えています。

近年そのハードルは低くなってきていると思うのですが、障害があると健常者が集まる場所に入っていくことを遠慮してしまうことが多いのも事実です。しかし本来ヨガというものは、年齢や体の状態に関わらず誰にでもできるものですよね。なのでその価値やインクルーシブな環境を、もっと多くの方々に伝えていきたいと思っています。

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いつでも穏やかな自分を思い出して

― 最後に、クラスの参加を考えている方々にメッセージをお願いします。

ヨガを通じて自分の内側に目を向けてみると、どんな状況であれ内側には穏やかな自分がいることに気づけるはずです。インクルーシブヨガは、自分の内側や呼吸に向き合う時間を一緒に共有することで、安心感や繋がっている感覚を得られるクラスになっています。

日々の身体の状態に付き合うだけで、あるいは生活しているだけで大変だなと感じる日もあると思いますが、どなたでも自分のペースで参加できるクラスですので、まずは一度気軽に参加してもらえたら嬉しいです。


FUMI先生のインクルーシブヨガは、人と人をつなぐ温かい場となっており、多様な価値観を尊重するクラスです。FUMI先生のお話からも、クラス全体が温かく穏やかな空気で包まれている様子が伝わってきたのではないでしょうか。また、今後のインクルーシブヨガの広がりも楽しみですね。

今回のインタビューを読みインクルーシブヨガに興味を持った方は、ぜひ一度クラスへ参加してみませんか?きっと新しい発見や温かいつながりが得られるはずです。


FUMI(フミ)
米国ヨガアライアンスRYT200/同行援護従業者(ガイドヘルパー)
UTL17期卒業生。米国ヨガアライアンスRYT200。
我が子の先天性障害をきっかけに、社会や教育の現場で多様な人と人をつなぐ活動をしています。
みんな違うけど、誰もひとりじゃない。インクルーシブヨガを通して、どんな方も一緒にヨガを楽しみましょう。
担当レギュラークラス:第4火曜日開催 インクルーシブヨガ