鈴木まゆみ:ニューヨークOM yogaの正式指導者が、生徒に答えを渡さない理由
One World, Many Asanas vol.12
「One World, Many Asanas」は、世界中の人々がどのようにヨガを実生活に取り入れて実践しているのか探求し、共有することを目的とするプロジェクトです。
今回インタビューしたのは、TRAM yoga studio 主宰で、「第10期 現代ハタヴィンヤサヨガ指導者養成」を担当する鈴木まゆみ。アンダーザライト ヨガスクールで200時間の指導者養成を長く担当してきた講師ですが、ヨガより先に出会ったのはメディテーションでした。しかも最初のヨガクラスでは「二度とやらない」と思って帰りかけています。その人が今、指導者養成の16時間で教えているのは、ポーズでもシークエンスでもなく「生徒を見る」ことでした。
#1 きっかけはヨガではなく、メディテーションだった
#2 「やばかったね、次いつ来る?」―引きずられるように始まったヨガ
#3 Yoga Journalで毎回引き込まれる文章は、いつも同じ人が書いていた
#4 40人の名前を全部覚える先生たち ― ニューヨークで見ていたもの
#5 「現代ハタヴィンヤサヨガ」は、私がつけた名前ではありません
#6 マットの上は、生活の縮図
#7 TRAM yoga studio ― ヨガを使って、人生を練習する場所
#8 教える人を育てるのは、教えることと全然違う
#9 第10期の16時間 ― 見る、判断する、選ぶ、教える、また見る
#10 「あれ?」と思い始めた人にこそ
あとがき
#1 きっかけはヨガではなく、メディテーションだった
UTL ヨガとの出会いから教えてください。
鈴木 はい。ほんとうの最初のきっかけは、ヨガではなくてメディテーションでした。
10代の終わりにアメリカのオレゴン州に留学していたんですが、自然がものすごく豊かで、まわりにはヒッピーみたいな人たちがたくさんいて(笑)。多感で悩みの多い時期を、そんな場所で過ごしました。そこでルームメイトに誘われて、初めてメディテーションに行ったんです。
UTL そのとき、何に惹かれたのでしょうか。
鈴木 もともと高校生の頃から心理学に興味があって、人とどうコミュニケーションするのか、自分をさらけ出せないのはなぜなのか。恥ずかしさとか、プライドとか、嫉妬とか、自分の中に出てくるこういうものは一体なんなんだろうと、よく考えていました。オレゴンに行ってからは、さらに自分の内側に矢印が向くようになって、自分とは、みたいなことを考え始めた時期でもありました。
だからメディテーションに行って、思考を鎮めていくようなことをやったときも、ものすごく新しいものに出会ったというより、あれ、こういうのって子どもの頃、眠れない夜に布団の中でやってたなあ、みたいな感じがあって(笑)。そこからアンドルーワイル先生の本を読み漁るようになりました。今振り返ると、私の練習の核になっているマインドフルネスとの出会いは、この頃からすでに始まっていたんだと思います。
#2 「やばかったね、次いつ来る?」―引きずられるように始まったヨガ
UTL ヨガを始められたのはいつ頃ですか。
鈴木 日本に帰ってきた頃、ちょうど99年2000年代の世界的なヨガブームが始まって、私もそれに乗っかるようにヨガを始めました。でも最初の目的は、体力をつけたい、身体を柔らかくしたい、というものすごく普通のものです。
そして初めてのクラスで、見事にコテンパンにやられました(笑)。
UTL コテンパン、ですか。
鈴木 そうなんです。絶対無理、私は二度とヨガをすることはないだろうと着替えて帰ろうとしたら、その日もう一人初めて参加していた女の子に、やばかったね、次いつ来る?(笑)と言われて、引きずられるように次の予約をして。それから今に至ります。
UTL 20年以上続いているのは、なぜだと思われますか。
鈴木 振り返ってみると、ヨガを探していたというより、ずっと同じことに興味があったんだと思います。人の心ってどうしてこんなに動くんだろう。自分の中に起きるいろんなことと、どうやって一緒に生きていけばいいんだろう。
心理学に興味を持ったのも、メディテーションに惹かれたのも、ヨガが20年以上続いているのも、たぶん全部そこにつながっています。
#3 Yoga Journalで毎回引き込まれる文章は、いつも同じ人が書いていた
UTL ニューヨークのOM yoga centerで、シンディー・リーに学ばれています。どうやってその存在を知ったのでしょうか。
鈴木 私がヨガを始めた頃は、まだiPhoneもなかったし、今みたいにインターネットで何でも調べられる時代でもなかったので、ヨガのことを知りたかったら本屋さんの洋書コーナーに行って、Yoga Journalを読む、みたいな感じだったんです。
Yoga Journalを開くと毎回たくさんの素敵な記事が載っているんですが、その中に、なぜか読み始めるとグンッと引き込まれて、魅了されたまま、そのまま3ページくらい一気に読んでしまう記事がありました。著者を見て読むものを選んでいるわけじゃないんです。でも読み終わって誰だ? って名前を見ると、いつもCyndi Leeって書いてある(笑)。
UTL 毎回同じ人だった。
鈴木 そうなんです。それが何度も続いたんです。10個も20個も記事があるのに、どうして私は毎回この人の文章だけに引っ張られるんだろう。この人はなんなんだろう、と思って。そこからシンディを追いかけ始めました。
その後ニューヨークへ行き、OM yoga centerが閉まる前には、ニューヨーク大学の寮に半年ほど滞在しながら通っていました。
#4 40人の名前を全部覚える先生たち ― ニューヨークで見ていたもの
UTL そこで受け取ったものは何でしたか。
鈴木 もちろんアーサナも、ティーチングの技術もたくさんあります。でも今振り返ると、一番大きかったのは、その場で起きていることを見る、ということだった気がします。
先生たちが、用意してきたものをそのまま教えている感じが全然なかったんです。今ここで何が起きているのかを見て、それに対応していく。その力がものすごかった。
UTL 具体的に、どんな場面で感じられたのでしょう。
鈴木 クラスの前にみんなの名前を聞くんですが、40人いたら40人、先生がその場で全部覚えるんですよ(笑)。しかもシンディだけじゃなくて、ニューヨークの先生たち、みんなそれができた。Mayumiなんて向こうからしたら変な名前なのに、それも一発で覚えて、クラスの中で普通に名前を呼ばれる。今考えても、あれは一体どういう能力だったんだろうと思います(笑)。
でもたぶん、名前を覚えること自体がすごかったんじゃないんですよね。それくらい、一人ひとりを見ていたんだと思います。
UTL 今振り返ると、その経験はご自身の中にどう残っていますか。
鈴木 先生が正解を持っていて、そこへ生徒を連れていくというより、目の前にいる人を見ながら、その人自身が何かを発見できるようにする。今、自分が教えるときに大事にしていることのかなりの部分を、私はあの場所で見ていたんだと思います。
#5 「現代ハタヴィンヤサヨガ」は、私がつけた名前ではありません
UTL 「現代ハタヴィンヤサヨガ」という呼び方には、どんな意味を込めていますか。
鈴木 実は「現代ハタヴィンヤサヨガ」というタイトル、私がつけたものではないんです(笑)。スタジオから、このタイトルでお願いします、と言われたのが始まりで、そのままやってます。
UTL そうだったのですね。では、ヴィンヤサヨガそのものはどう説明されますか。
鈴木 ヴィンヤサヨガは、呼吸と動きをつなぎながら、いくつものポーズを流れの中で練習していくヨガです。決まったひとつのシークエンスを繰り返す流派ではなく、その日のクラスを教える人が組み立てていく自由度が高いのも特徴です。
そしてヴィンヤサヨガには、誰か一人の決まった創始者がいるわけではありません。だからこそ、教える人が誰に学んできたのか、何に影響を受けてきたのか、何を大事にしているのかが、そのままクラスに出るヨガだと思っています。
UTL ほかのヴィンヤサとの違いを聞かれることは多いのではないですか。
鈴木 なので、ほかのヴィンヤサとどこが違うかと聞かれると、そもそもヴィンヤサは、教える人によってかなり違うものなんです。
#6 マットの上は、生活の縮図
UTL 鈴木さんのヴィンヤサは、どこに特徴があるのでしょうか。
鈴木 そうですね。私の場合は、マットの上で起きることを、生活の縮図のように見ています。
難しいポーズができるかどうかというより、うまくいかないときに自分はどうするのか。怖くなったらどうするのか。隣の人が自分よりできていたら何が起きるのか。頑張りすぎるのか、すぐ諦めるのか、人の言うことを聞きすぎるのか。80分も身体を動かしていると、その人が普段どうやって世界と関わっているのかが、結構そのまま出てくるんです。
UTL 実際のクラスでは、どんなふうに教えているのでしょうか。
鈴木 だから私は、最初から全部の答えを渡して、生徒を正解の形まで連れていくような教え方はあまりしません。少し試して、失敗したり、あれ? と思ったり、自分で何かを発見したりしながら、その人自身の身体の中で、これだ、というところを見つけてほしい。
UTL 流れの中に入っていくと、何が起きるのですか。
鈴木 ヴィンヤサで流れの中に入っていくと、一つのポーズだけを取り出して、できた、できない、と考えることがだんだんどうでもよくなってきます。呼吸があって、身体が動いて、その前のポーズがあって、次のポーズがあって、その全部がつながって一つの流れになっている。自分もその流れの一部なんだ、という感覚になっていくんです。
それって、私たちが生きている世界も同じだと思うんです。一つのことだけで何かが完成しているわけではなくて、いろんなものが同時にあって、関わり合って、全体ができている。
うまくいくと、クラス全体がみんなでサーフィンしているみたいになるんです(笑)。それぞれ違う身体で、それぞれ違う体験をしているのに、みんなで同じ波に乗っているような瞬間がある。私はあの感じがすごく好きです。
でも、そこで終わりではなくて。マットの上で、上手くいかない自分をみることが、誰かの不器用さや、うまくいかない時間を、すぐに責めずに待てるようになったり、マットの上で何度も練習した寛容さと弱い自分を見る強さが、スタジオを出たあと、誰かと関わるときの優しさとして現れてくれたらいいなと思っています。
……って、ここまで話して気づきましたけど、これ完全にOM yogaの説明ですね(笑)。20年以上ほぼこれしかやっていないので、どうしてもこうなってしまう。しょうがないですね。
#7 TRAM yoga studio ― ヨガを使って、人生を練習する場所
UTL ご自身のスタジオ、TRAM yoga studioを始めた経緯を教えてください。
鈴木 自分のスタジオを持ちたい、という夢は実は全然なかったんです。
父が亡くなったタイミングで、ちょうどビルの4階に空きが出たんですね。それで、まわりから突然背中を押されて、おっとっとっと、という感じで(笑)。かなり見切り発車に近い状態でスタジオを始めました。
UTL 日々のクラスで、一番大事にされていることは。
鈴木 そこにいることです。全ての意味で(笑)。
先生をしていると、どうしても今日はこれを教えたいとか、私はこれを知っているとか、自分が持っているものを出したくなるんです。でも、それで頭がいっぱいになると、目の前にいる生徒が見えなくなる。
だから、自分が何を教えたいかよりも、今日ここにいる人たちに何が起きているんだろう、今何が必要なんだろう、ということを見ていたいと思っています。予定していたことと違うことが起きたら、予定のほうを変えればいい。
UTL 生徒との距離の取り方についてはいかがですか。
鈴木 それから、生徒にスペースを残すこともすごく大事にしています。すぐに答えを教えない。全部を直さない。失敗しそうだからと先回りして助けない。自分でやってみて、ちょっと困ったり、失敗したり、そこから何かを発見する機会まで先生が奪わないようにしたいんです。
グループクラスなら、一人だけを見すぎず全体を見ること。その中で、一人ひとりもちゃんと見ること。誰かが何かをできるようになったときには、その人の幸せを心から一緒に喜ぶこと。
UTL 先生の役割については、どう考えていますか。
鈴木 ヨガを教えるって、何かをたくさん知っていて、それを上手に説明することだと思われがちなんですけど、私はむしろ、先生がどれだけ目の前で起きていることに気づけるかなんじゃないかなと思っています。
トラムのことも、実はあんまりヨガスタジオだと思ってないんです(笑)。ヨガを使って、人生を練習する場所、みたいに思っています。
#8 教える人を育てるのは、教えることと全然違う
UTL 指導者養成を教えるようになった経緯を教えてください。
鈴木 アンダーザライトでは、もう20年近く200時間の指導者養成を担当させてもらっています。500時間のトレーニングを担当するようになったのは、それから5、6年後くらいだったと思います。
このヴィンヤサの講座ができたのは比較的後半で、それでも10期続けてきて自分の中で変わったことはと聞かれると……何もかも変わっています(笑)。
UTL クラスで教えることと、教える人を育てることは、どう違うのでしょうか。
鈴木 やってみると全然違うんです。自分が知っていることを誰かに教えるだけなら、まだ話は単純なんです。でも、その人が今度は別の誰かの前に立って、その人自身の言葉で、それを伝えられるようになるところまで教える。これ、ものすごく難しい(笑)。
だから指導者養成を教えるようになってから、自分が無意識にやっていたことを、ずいぶん分解するようになりました。私は今、何を見てこの判断をしたんだろう。なぜ今は声をかけて、さっきは声をかけなかったんだろう。なぜこの人にはこの言葉で、別の人には違う言葉を使ったんだろう。自分では当たり前にやっていたことを、人に渡せるところまで言葉にしなくちゃいけない。
UTL 500時間になると、また違いますか。
鈴木 はい。500時間のトレーニングになると、受講生から出てくる質問もかなり深くなります。私が答えを知っている質問ばかりでもないので、一緒に考えることもたくさんあります。そういう時間は、私自身のティーチングを何度も見直す機会にもなっています。
UTL 10期続けてこられて、面白いと感じる瞬間はどこですか。
鈴木 人が少しずつ先生になっていくところを見られるのは、やっぱりすごく面白いです。最初は自分がちゃんと教えられているかで頭がいっぱいだった人が、ある瞬間から自分ではなく、生徒を見るようになる。その瞬間は、何度見ても、おお! と思います(笑)。
あと、圧倒的に体力がつきました。こころの体力が(笑)。
#9 第10期の16時間 ― 見る、判断する、選ぶ、教える、また見る
UTL 第10期の16時間で、受講生は具体的に何をしますか。
鈴木 16時間なので、そんなにたくさんのことはできません(笑)。だから逆に、何を持ち帰ってもらうかはかなり絞っています。
1日目はオンラインで、座学が中心です。まず、ヴィンヤサというのはそもそもどういう意味なのか、何をもってヴィンヤサになるのか、というところをみんなで頭を使って考えます。
2日目、3日目はスタジオで、実際に身体を動かしながらやっていきます。ここからは、とにかく生徒を見る練習です。
UTL 具体的には、どんな練習をするんですか。
鈴木 ただし、見るといってもめちゃくちゃ凝視するわけではないんです(笑)。
なぜならヴィンヤサは、テンポと呼吸とリズムがすごく大事で、生徒を見ることに一生懸命になりすぎて流れを止めてしまってはダメ。でも、流れを大事にするあまり、先生だけがどんどん先に行ってしまってもダメ。
早すぎてもダメ、止めすぎてもダメ。じゃあ一体どうすればいいの、っていうのをやっていきます(笑)。
UTL その両立を、どう練習するのですか。
鈴木 動き続けている人を見ながら、何が起きているのかを判断して、今何を伝えるのか、何を伝えないのかを選ぶ。そして教えながら、また見る。自分もその流れから降りずに、それをやり続けます。
見る、判断する、選ぶ、教える、また見る。たぶんこの16時間で一番練習するのは、この繰り返しです。
UTL 終えたときに持ち帰れるものは何でしょう。
鈴木 終わったときに何でも教えられる先生になっているわけでは、もちろんありません。でも自分のクラスに戻ったときに、生徒を見る目が少し変わっている。そして、自分が知っていることを全部教えるのではなく、その瞬間に必要なものを選べるようになっている。
そこを持って帰ってもらいたいと思っています。
#10 「あれ?」と思い始めた人にこそ
UTL 受講を迷っている方に向けて、どのくらいの経験があれば大丈夫でしょうか。
鈴木 200時間の指導者養成を修了している方であれば、指導歴が長くなくても大丈夫です。
むしろ、教え始めて、あれ? と思い始めた人には、すごく面白い講座だと思います。
200時間でたくさんのことを勉強して、ポーズも知っているし、シークエンスも作れる。インストラクションもできる。でも実際に人の前に立つと、知っていることを全部言おうとして忙しくなったり、生徒を見ているつもりなのに何を見たらいいのかわからなかったり、予定していたことと違うことが起きた瞬間に困ってしまったりする先生に。
UTL 長く教えている方にとってはいかがですか。
鈴木 逆に、私は長く教えている方にも来てほしいんです。経験を積むと、どうしても自分なりのやり方ができてくる。それはもちろん素晴らしいことなんですが、ときどき自分でも気づかないうちに、いつもの見方、型にはまった教え方になっていることもあります。いつの間にか、同じ言葉を同じタイミングで繰り返していたりする。テープレコーダーみたいな。今の時代の人、テープレコーダーって知らないか(笑)。
UTL スタジオ受講とオンライン受講があるんですね。
鈴木 はい、オンラインでも参加できます。ただ、もしスタジオに来られる環境にいる方なら、一度はぜひ対面で参加してみてほしいです。
なぜなら今回の大きなテーマのひとつが、生徒を見ることだから。
実際に同じ空間にいると、画面の中だけでは拾いきれない情報がたくさんあります。呼吸の速さやリズム、動きのテンポ、汗をかいていること、ふっと出る笑顔、眉毛のシワまで(笑)。そういう小さな変化も含めて、その人に今何が起きているのかを見ていく時間なんです。
これからオンラインで教えていきたい方にとっては、オンラインで人を見ること自体がとてもいい練習になると思います。音声のわずかなディレイがある中で、相手の動きをどう見るのか。どのタイミングで言葉を渡すのか。これはオンラインで教えるなら必要になる力です。これはまた違うスキルになってくる。
なので、どちらでも受講できます。ただ、対面で参加できる方には、生身の人から受け取れる情報の多さをぜひ体験してほしいと思っています。
UTL この16時間は、受講生にとってどんな時間になりますか。
鈴木 この講座では、新しい正解をもう一つ増やすというより、自分のティーチングを一度よく見てみることにフォーカスします。
実際に人間を見ることに興味がある人には、たぶんすごく面白い16時間になると思います。
ただ、楽ではないです(笑)。
UTL 最後に、これから挑戦してみたいことを教えてください。
鈴木 これをスタジオのインタビューで言っていいのかわからないんですけど(笑)、これからは、たくさんの人に広く届けるということよりも、同じ方向を向いている人たちと、もっと深く掘り下げていくようなことをしたいと思っています。
もちろん、ヨガを初めてする人に伝えることも好きだし、たくさんの人に知ってもらうことも大切だと思います。でも自分自身は20年以上教えてきて、これから先も同じように広げ続けていくというより、もう少し小さなところで、一緒に考えたり、練習したり、時間をかけて変化を見ていくようなことに興味が向いています。
ヨガだけじゃなくて、メディテーションもそうです。すぐに答えが出ることではないものを、同じ人たちと何度も練習しながら、少しずつ深く見ていきたい。
まあ、広げることからは、そろそろ隠居したいんだと思います(笑)。さっき体力がついたと言ったばかりですけどね。私も歳をとって来ました(笑)。
あとがき
今回のインタビューは、文字でお願いしました。返ってきた回答には「数行で良いって言ってるのに、壮大な話になってしまいました」と添えられていましたが、読み終えてまず思ったのは、この人は自分の教え方について、これほど言葉にできる状態で持っているのか、ということでした。
指導者養成を教えるようになってから、自分が無意識にやっていたことを分解するようになった。なぜ今は声をかけて、さっきは声をかけなかったんだろう。その積み重ねが、そのまま回答の細かさになっているのだと思います。
面白いのは、これだけ言葉にできる人が、クラスでは答えを渡さないと決めていることです。すぐに答えを教えない。全部を直さない。失敗しそうだからと先回りして助けない。持っているものを出したくなるのは先生のほうで、それをやると目の前の生徒が見えなくなる、と鈴木まゆみは書いています。
40人いたら40人の名前をその場で覚えてしまうニューヨークの先生たちの話も、すごい記憶力の話ではありませんでした。「名前を覚えること自体がすごかったんじゃないんですよね。それくらい、一人ひとりを見ていたんだと思います」。ニューヨークで見たその光景が、第10期の16時間で練習する「見る、判断する、選ぶ、教える、また見る」に、まっすぐつながっています。
そしてもうひとつ。マットの上で上手くいかない自分を見ることが、スタジオを出たあと、誰かの不器用さを責めずに待てる優しさとして現れてくれたらいい、という一節。TRAM yoga studioを「ヨガを使って、人生を練習する場所」と言い切る理由が、ここにあります。
第10期は土曜3日間に録画動画の視聴を加えた計16時間。初日は全員オンラインで、2日目と3日目は身体を動かしながら、ひたすら生徒を見る練習をします。対象は200時間の指導者養成を修了した方で、指導歴の長さは問いません。教え始めて「あれ?」と思っている方にも、長く教えていて自分の型に気づきたい方にも開かれています。ただし、楽ではないそうです。
2026年9月19日(土)開講「第10期 現代ハタヴィンヤサヨガ指導者養成 16時間コース」。9月19日・9月26日・10月3日の土曜3日間、各日10:00〜15:20。これに初日分の録画動画の視聴4時間を加えて、合計16時間です。初日は全員オンラインでの受講(講義と実践)、2日目・3日目はUTLスタジオでの受講とオンライン受講のどちらかを選べます。オンラインで受講される場合は、Zoomのカメラと音声をオンにしていただきます。59,000円(税込み・オリジナルテキストブック郵送・修了証あり)。RYT200相当のヨガの基礎を修了された方が対象です。指導を始めたばかりの方も、長く教えている方も受講できます。UTLのRYT500プログラムでは16時間の選択講座としてカウントされます。アシスタントは小中千恵。
|
鈴木まゆみ(すずき まゆみ) |