花愛瑞穂:宝塚歌劇団で13年。FRPマスタートレーナーが語る「機能する身体」とは何か

花愛瑞穂

One World, Many Asanas vol.9

「One World, Many Asanas」は、世界中の人々がどのようにヨガを実生活に取り入れて実践しているのか探求し、共有することを目的とするプロジェクトです。

今回インタビューしたのは、アンダーザライト ヨガスクールでファンクショナルローラーピラティス(FRP)を指導する花愛瑞穂。宝塚歌劇団星組で13年を過ごしたのち、退団後にヨガと出会い、FRPマスタートレーナーになりました。初めてフォームローラーに乗った日、隣にいた一般の受講者が難なくこなす動きが、自分にはまったくできなかったといいます。「何故できないんだろう」という問いから始まった、「見せるための身体」から「機能する身体」への歩みをたどります。


#1 「ベルサイユのばら」から始まった、4回の受験

UTL  まず、みなさまが興味をお持ちだと思うのが宝塚歌劇団のことです。目指されたきっかけと、星組で活動されるまでの経緯を教えてください。

花愛  小学校2年生ぐらいだったと思うのですが、テレビのアニメで「ベルサイユのばら」を放映していて、当時、日本舞踊を習っていた先生が「宝塚の舞台でベルサイユのばらをやっているよ」と教えてくださいました。タカラヅカ•••!?
それで母にお願いして、小学校3年生ぐらいの時初めて観劇しました。ものすごい衝撃で、それは華やかで綺麗で!幼き私は一瞬にして魅了されてしまい、すっかり『タカラヅカ』の虜となりました。その帰り道、私は覚えていないのですが、母曰く、「ここに入りたい」というようなことを言っていたらしいです。それがきっかけです。

UTL  そこからすぐに準備を始められたのですか。

花愛  いえ、だからといって特にすぐ勉強を始めたわけではなく。母も「そのうち気が変わるだろう」みたいな感じで、はいはいと聞いていたようなのですが、いつまで経っても一向に私の気持ちが変わらず、、、ということで、中学2年生から、実際に受験に必要なクラシックバレエ、ジャズダンス、声楽を本格的に習い始めました。
その後、高校3年生のときに合格する事ができました。受験には年齢制限があって、中卒から高卒までというのが条件なのですけれど、私は高卒でラストチャンスで合格しました。

UTL  もうギリギリのタイミングで。

花愛  はい。私は、中学3年のときから受験していました。ですから、4回受けていて、それまで3回とも一次試験を通らなかったんです。

UTL  3回とも一次で。

花愛  はい。ですから、私には可能性がないんじゃないかなと17歳の心が絶望で折れそうになっていました。そのとき一緒にバレエをやっていた方に「あと1回もチャンスがあるのに、やらないの?○○さんは三次までいったけれど、高卒だからもう二度と挑戦することすらできないんだよ」と言われました。私にはあと1回挑戦するチャンスがある。その瞬間、絶望が希望に変わりました。

UTL  試験は何次まであるのですか。

花愛  三次まであります。それまで一次も通らなかったのに、最後は合格することができました。なので、その後、受験生に教えるときにその話をすると、みんなの瞳が再び輝きだすのです。そういう意味では、誰かに勇気を与えられる経験なのかなと思っています。

UTL  合格されてから宝塚音楽学校で2年間学ばれて、20歳で初舞台ですね。星組になったのは。

花愛  配属は劇団が決めるのですが、私は星組が大好きだったので、すごく嬉しかったです。

UTL  同期は何人ぐらいで、各組に何人ずつという感じなのでしょうか。

花愛  私の期から45人採るようになりまして、それを5組に分けるので、8人、9人ぐらいです。

花愛瑞穂と宝塚歌劇団の公演ポスター

#2 13年の舞台と、退団後に訪れた「動けない身体」

UTL  そこで、いわゆる「見せるための身体」を作られていったと思うのですが、毎日どんな身体の使い方をされていたのですか。舞台の身体づくりに決まりごとのようなものはあるのでしょうか。

花愛  主にバレエとジャズダンスでしたが、あらゆる分野のダンスの動きの特徴を使い分けられる必要がありました。もちろん基礎はあくまでクラシックバレエ。スッと伸びつつもしなやかさをあわせ持ち、あるダンスでは、力を抜きバレエとは逆の脱力感を求められる。音楽のメロディを聴きながら踊るのか、それともリズム。何をイメージしているのか、何を思い描き、その瞳に何が見えているのか。頭頂から、手先、足先の細部にいたるまで、神経を張りめぐらせて。
多くの先生方のご指導を受け、素敵な上級生達をお稽古場で食い入るように見つめる。わからないことは、ダンスの得意な同期に教えてもらい、日々を過ごしました。

UTL  1日どのくらい身体を動かしていたのですか。

花愛  お稽古はお昼の1時から夜10時まででした。もちろん自分がでていない場面の時はお休みです。その前の午前中が公演の為の自主稽古であったり、「劇団レッスン」といって、バレエやダンス、声楽と公演に直接関係のない、通常のレッスンをするという感じでした。

UTL  1日中動かしていたということですよね。

花愛  お芝居のお稽古の時は多少違いますが、ショーの時はほぼそうなりますね。当時は水曜日が休みでしたが、休みの日にはお稽古でできなかったことを個人レッスンに行ったり、公演に必要な準備をしたり、常に舞台中心の生活でした。

UTL  13年というのは長いほうなのですか。

花愛  長いかなと思います。私は20歳から舞台生活がスタートしたわけですけれども、退団する時は星組同期の中で最後の1人でした。

UTL  13年活動されて、そのあと舞台がなくなって。すぐにヨガを始められたのですか。

花愛  いえ、違います。何もしないでゆっくりしている時期がありました。運動量が一気に減って、見られるという緊張感もなくなり、あっという間に筋力が落ち、日常生活で普通に動くということすら、しんどく感じるようになりました。

UTL  筋力の衰えが顕著に。

花愛  もう顕著に出ました。それまでずっと動いていたのに、そこから急に動かなくなったので、落差がすごかったです。

UTL  お仕事についても、辞めたあとに考えられたのですね。

花愛  子供の頃の憧れのまま、大好きなことが仕事になっていたので、それを手放した今私に何ができるのか、私は何がしたいのか、明瞭な答えがだせないまま、ただ漠然としていた時、ヨガに出会いました。

#3 ヨガで出会った、それまでと真逆の言葉

UTL  そこでヨガに出会われた。

花愛  それまでの、漠然とした時期を過ごしていたときと比べると、こんなにも人生観を変えてくれる職業に出会えるとは思ってもいませんでした。凡庸だった日常生活が、生き生きとした時間の刻みへと変化していきました。

UTL  ヨガを本格的に学ぶようになった経緯と、当時ヨガに求めていたものを教えてください。

花愛  自宅のポストにヨガスタジオのチラシが入っていたのがきっかけです。運動不足だし、ヨガって何だか全然分からないけれど、とりあえず行ってみようと思いました。そのときの先生が「自分を否定しなくていい」「周りと比べなくていい」「自分のままでいい」と、そうおっしゃっていた言葉が、私にとってはとても衝撃的でした。
それ以前の宝塚時代とは真逆の精神が、私の心に突き刺さってきました。それが自分自身を、「蘇れ」「再生しろ」と鼓舞してくれているような感覚があり、すごく大きなものに抱かれて覚醒した、そんな感動を味わったことを今でも覚えています。それで「ヨガとは何なのか」と、もっと知りたいという欲求が出てきました。

UTL  そこから養成講座へ進まれたのですね。

花愛  はい。スタジオで習っていたのですが、その真髄まではスタジオでは触れることができなかった。これは養成講座に行ってみようと思い、その当時紹介してもらったプラサード真理先生のところに行きました。

UTL  プラサード真理さんに師事されて、印象に残っていることはありますか。

花愛  クラスで6.7人いたのですが、模擬レッスンを順番にやっていきましょう、という授業がありました。そのときに、プラサード真理先生が「生徒側として受けている人は、相手のいいところを見つけて本人に伝えていきましょう」「そうでないと思ったことは、自分自身の教訓として心に留めておきましょう」とおっしゃったんです。
宝塚受験の勉強を始めたときから、自分の悪いところを指摘されて改善していくということをずっと繰り返していたので、「いいところを見つけて伝える」という真理先生の言葉は、まさに青天の霹靂でした。

花愛瑞穂とプラサード真理

#4 解剖学が立体的に見えた日

UTL  そうしていく中で、FRPに出会われます。その経緯を教えてください。

花愛  オンラインで中村尚人先生のワークショップを受講したというのが、最初です。

UTL  それはヨガですよね。

花愛  ヨガです。そこからワークショップを継続して受けている中で、FRPがあるということを知り、色々調べていくうちにだんだん興味が湧いてきました。ですから最初はピラティスというよりも、むしろ解剖学のオンライン講座だったと思うのですが、そこから入っていってFRPにたどり着いた、という経緯です。

*FRP(ファンクショナルローラーピラティス)は、理学療法士の中村尚人が考案した日本発のピラティスメソッドです。フォームローラーを使い、姿勢や歩行といった日常の動作につながる機能的な動きを引き出すことを目的としています。

花愛  そのときに中村先生から教えていただいた解剖学が、なんて分かりやすいんだろうと驚きました。それまではただ教科書に書いてあることを覚えるような、平面的な知識だったのですが、中村先生は運動学とも繋げ、理にかなった説明をされました。それが私の世界観を、あっという間に立体的なものに変えてくださって。
それを実際に自分のクラスでお客様にお伝えしていくと、お客様の反応もみるみる変化していく様子が明瞭になり、「分かる」「分かりました」という喜び、興味、知的好奇心が、あちこちへと更に広がっていきました。

UTL  ご自身の身体についても変化があったのでしょうか。

花愛  以前は、自分の身体のメンテナンスとして週1回ぐらいマッサージであったり、鍼であったり、そういった時間を取っていたのですけれども、当然、行ったときは快適になりますし、気持ちいいのですが、少し経つとまた戻っていってしまって、また1週間後に行って、という繰り返しでした。でも、そういうものだと思っていました。
ですが、その繰り返しになるのは、痛みや違和感の根本的な原因を改善していないからだと中村先生から教わりました。それで自分の身体の構造に興味を持ち、FRPを更に学んでいき、エクササイズをやることで、私の場合は、気になっていたところが少しずつ楽になっていきました。

*個人の体験であり、効果を保証するものではありません。

ファンクショナルローラーピラティスのマスタートレーナー同期

#5 隣の人にできることが、自分にはできなかった

UTL  この記事は、これからFRPを体験される方にぜひ読んでいただきたいと思っています。花愛さんご自身が初めてFRPを体験されたときの感覚はどうでしたか。宝塚で13年、そのあとヨガの練習も指導もされてきて、それまでのものと何が一番違ったのでしょうか。

花愛  私が初めてFRPを受けたのは八王子のTAKT EIGHTで、初心者向けクラスでした。その時、お隣にいらした方がいとも簡単にやっていらっしゃるエクササイズが、私は、まったくできなかったのです。

UTL  バレエもダンスもヨガもやってこられて。

花愛  「これは何なのだろう」と。「何故できないのだろう」ということも分かりませんでした。でも終わったあとにはスッと背筋が伸びていくような爽快感があったことを覚えています。ただ何故まったくできなかったのか、逆に何故こんなに気持ちいいのか、その理由を知りたくなってFRPをスタートしました。中村先生のクラスに約半年くらい通い、そこで瀬戸景子先生に出会い、瀬戸先生ご担当の養成講座を受講。約2年かけて教えていただき、マスタートレーナーになりました。

ファンクショナルローラーピラティスのクラス風景

UTL  瀬戸景子さんからはどんなことを学ばれましたか。

花愛  瀬戸先生は、とにかく指導者としての人間性が素晴らしいです。壁にぶつかり、自分では解決策を見出すことができず、パーソナルレッスンに通っていたのですが、先生と生徒、という関係性ではなく、まるで患者さんに寄り添うかのような、温かさや優しさ、安心感が、そこにはありました。
決して指導者という俯瞰した立場ではなく、的確なアドバイスを伝えてくださりつつも、私の傍らでそっと手を携えて、同じ速度で一緒に歩いてくださる。
そういった関係は時が経っても変わらず、先生との親密度が増していっても、一人の人間として、どんなときも私に対して敬意を持って接してくださる。そのような精神性をお持ちの方だからこそ、私をマスタートレーナーになるまで引き上げてくださり、私も全身全霊で努力することができました。
瀬戸先生の実際のご指導は、とにかくシンプルでありながらも論理的であり、分かりやすく共感できました。先生からの教えをどんどん取り入れ、瀬戸先生という幹から私という枝葉が成長していく。やがて花となり、もちろんまだ開花する過程ではありますが、先生が作ってくださった土台がしっかりあるので、いずれ花開くと願っております。

ファンクショナルローラーピラティスのクラス風景

#6 宝塚から受け継いだもの、FRPで手放したもの

UTL  宝塚時代の身体の使い方で、今の指導につながっているものはありますか。

花愛  少し違うかもしれませんが、腹筋と声とのつなげ方でしょうか。やはりスタジオ内での講師の説明が聞こえないと、その時点で聞く方は集中が途切れてしまったり、意欲が低下してしまったりという影響が出てくると思っています。自分が聞こうとしなくても聞こえてきて、その環境や、スタジオの大きさに合った声量であったり、明瞭な発音というのは、今も意識しています。
特にシニアの方に教えることもあるので、その場合、はっきりお伝えしないと「何を言っているか分からない」「つまらない」と、参加意欲が低下する可能性がありますので、『発声』は現在の指導に生きているのではないかと思っています。

UTL  逆に、FRPを学んで見直したこと、手放したことはありますか。

花愛  見直したことは、とにかく自分自身の骨格特性を知るということです。それまではそういうものがあるとは認識しておらず、みんな一緒だと思っていたので。エクササイズに自分を合わせるのではなく、私自身の骨格に合わせてエクササイズをやっていい、ということ。それが一番見直したことです。ですから「できないことは努力が足りない」と思っていたのですが、そういう問題だけではないことがあると。
私の場合は特に前捻角が強めだったので、外旋という動きや、外旋位でのバランスが得意ではありませんでした。「自分はバレエをやっていたのに、恥ずかしい」という、自分を否定する心がありました。ですが、そこは否定することではなく、本来の自分の骨格に合わせてやっていいのだ、と。当然、みなさんがパラレルで立つところも、私は内旋した状態で立ってよい。むしろ、そうするべきなのだと。内旋位にした途端、特に片足のバランスエクササイズでは今までとは全く違う安定感が生まれました。「他者と同じようにやらなければいけない」という概念を手放した瞬間でした。

クラスで指導する花愛瑞穂

#7 フォームローラーの上で起きること

UTL  フォームローラーを使うことで、動きや身体への気づきはどのように変わるのでしょうか。クラスでよく行う動きを一つ例に教えてください。

花愛  クラスでよく使うのは「オールフォアーズ・オン・ローラー」という、ローラーの上に四つ這いで乗っていくというエクササイズです。そこでバランスを取ったり、更に片手を前方に伸ばしていったり。おそらくそれをマットの上でやると簡単に感じると思いますが、ローラーに乗った途端に、バランスが崩れてしまったり、片手を離せなかったりします。

UTL  四つ這いで、フォームローラーはどこにあるのですか。

花愛  マットの上にローラーを置いて、その上に手を置き、膝も両方ローラーに乗せます。そこで、支えていた足先を最後に離します。
左右のバランスが整っていないと、当然バランスはとれませんね。左右バランス、正中化、エロンゲーション、という意識を高めることができるエクササイズです。
バランスがとれないという形で自分へのフィードバックがくるので、自分自身で気づきやすい。やはり本人に気づいていただくことが一番大事なことだと思っているので、そういう意味で非常に有効なエクササイズです。
バランスが取れたときの身体の軽さ、逆にそうでないときはとても重く感じる、そういった比較が自分の中でできることも利点であると感じています。バランスが取れたときというのは、身体を固めたりしてピタッと止まっているわけではなく、正中の付近を揺らいでいるようなバランス感覚があります。

UTL  FRPは立位のエクササイズが多いと伺いました。それは姿勢と歩行を重視されているということでしょうか。

花愛  はい。その通りです。最終的に人間は、立って歩いて生活する直立二足歩行の動物なので、仰向け、座位や四つ這いというのは過程として行いますが、最終的に立位の姿勢でできなければ意味はない。日常生活に直結していくということを、中村先生はとても大事にしていらっしゃるので、レッスンの後半には立位でやっていくエクササイズ、更にローラーに立位で乗っていくようなエクササイズを行います。ローラーに乗っていくと、姿勢が正中からずれていくとやはり落下してしまうので、これもまた一つ、自分の姿勢や偏りを知るきっかけになります。
そして最後は、目をつぶってローラーの上に立ったまま10秒キープ、再びマットに降り、地上での立位の感覚を足裏から頭頂までスキャンしていくように自身を観察する。関節に緩みはあるのか、正中で揺らぎはあるのか、胸に呼吸が入りやすくなっているのか等々。それでクラスを終了することが多いです。

UTL  それで終わるんですね。

花愛  目を開けていると、それでバランスが取れてしまうところもあるので、これは中村先生のクラスでもいつもおやりになっていることなのですけれども、視覚を手放すことで、身体への意識を高め、本当に身体の軸が真ん中に来ていれば10秒乗っていられる。つぶった途端にバランスを崩してしまう事も多々あります。それがまた『何故?』につながります。

UTL  クラスは始まりから終わりまで、どのように進みますか。60分の様子が初めての方にも浮かぶように教えてください。

花愛  人間の発達の過程を中村先生もとても大切にしていらっしゃいます。つまり大地(床)に近いところからスタートしていって、だんだん成長していき、赤ちゃんが仰向けから座って、四つ這い、立つというふうになっていく、それを基本の流れとしています。
最初にこのクラスで獲得していきたい目的をみなさまにお話しします。その目的の為の最終のエクササイズを何か一つ私の中で決めていて、その動きに必要な要素を含んだエクササイズをゆっくり丁寧に練習していきます。

UTL  UTLの生徒さんは、かなりヨガをやり込んだ方が多いと思います。ヨガを続けている方がFRPを体験すると、普段のアーサナや身体の見方についてどんな発見がありそうでしょうか。

花愛  マットの上でやっていると、自分が動きやすい、使いやすい筋肉や柔軟性に頼ってしまって、代償動作で動きがちです。ですが、マットという環境ではそのことに気がつくのは容易ではありません。その時ローラーを使うことで、伸びる方向性の指標にしたり、環境を変えあえて不安定な状態を作っていくと、自分自身に直接フィードバックが来るので、そうすると「あれっ、今までできていたことが」「今までの感覚と違う」「どうして?何故?」という瞬間が、今来てくださっているお客様を見ていても、感じていらっしゃるなというのが見ていて分かります。この「?何故だ?」と思ったことが、多分その方にとっての新たなヨガの世界、蒙を啓くのではないでしょうか。

UTL  アシュタンガヨガのマイソールクラスに出ている方も参加されていると聞きました。かなり動きのある方でも、今まで意識が向いていなかったところに意識が向くクラスだ、という話も聞いています。

花愛  人は誰でも、自分の得意な筋肉や動きに頼りがちです。だからこそ、ゆっくり丁寧に、更に正しく、繰り返し練習することで運動学習していきます。自分の中で眠ってしまっていた筋肉を見つけた時は、「キツイ〜」っと思わず口ずさみながらも、とても楽しそうです。

フォームローラーの上でバランスをとるクラス風景

#8 これからFRPを受けるみなさまへ

UTL  初めて参加される方は、どんなところで戸惑いやすいでしょうか。服装や持ち物、運動経験など、あらかじめ知っておくと安心なことを教えてください。

花愛  初めての方は、「私にできるかな」という漠然とした戸惑い、未知の世界への不安を感じていらっしゃると思います。実際に、私が初めてFRPを受けたときは、バレエ、ダンス、ヨガ、ピラティスといろいろやっていたにもかかわらず、まったくできないというエクササイズがありました。
今まで「自分はこうだ」と思っていた自分とは違う、未知の自分を発見できる。戸惑いながらも、意外とできてしまうかもしれないし、できると思っていたらそうでないかもしれないし•••。FRPにはそういう、知らない自分を発見できるという魅力が沢山あります。その発見や気づきが、今、そして未来のあなた方皆さんの世界を彩り豊かに広げてくれると確信しています。今までとは違う景色を、どうぞ見にいらしてください。その第一歩を踏み出した際には、私が全力でサポートしていきます!!
服装は、動きやすくご自分の好きな格好で構いません。フォームローラーはスタジオにあります。持ち物は、皆さまのやる気魂だけで充分です!

UTL  最後に、これからFRPを通して取り組んでみたいことを教えてください。

花愛  今の私に出来ることは何か。未来の私に出来ることは何か。願わくば『意味のある人生』へと持続と創造を模索し続け、UTLのお客様のお身体と健康、そして笑顔を守り、より充実した人生の1ページを提供できる橋渡しを努められるよう、日々精進して参りたいと思います。

クラスで指導する花愛瑞穂

あとがき

宝塚歌劇団の受験を4回受け、3回とも一次で落ちた。最後の1回で受かった。この話と、初めてFRPを受けたときに隣の人ができる動きが自分にはまったくできなかった、という話は、同じ人の中で響き合っています。

どちらも「できなかった」ところから始まっていて、どちらも、そこで終わっていない。前者は「あと1回もチャンスがあるのに、やらないの」という他人の一言が扉になり、後者は「何故できないのだろう」という問いそのものが扉になりました。

13年の舞台生活で作り上げたのは、見られるための身体でした。退団してその緊張感がなくなったとき、日常生活で普通に動くことすらしんどくなった。そこからヨガとFRPを通って、花愛がたどり着いたのは、自分の骨格に合わせて動いていいという考え方でした。「他者と同じようにやらなければいけない」という概念を手放した瞬間、という言葉が印象に残っています。

フォームローラーの上では、正しくできているかどうかを誰かに評価してもらう必要がありません。ずれていれば落ちる。真ん中にいれば乗っていられる。答えは自分の身体が返してきます。「本人に気づいていただくことが一番大事」という指導方針は、この道のりから生まれたものなのだと思いました。

持ち物は、やる気で大丈夫です。ぜひクラスで、知らない自分を見つけてみてください。

アンダーザライト ヨガスクールでの花愛瑞穂のクラスは、金曜 12:40〜13:40、土曜 10:30〜11:30(初級・2026年9月12日スタート・月3回)です。フォームローラーはスタジオでご用意しています。

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花愛瑞穂(かわい みずほ)

ファンクショナルローラーピラティス(FRP)マスタートレーナー。
2000年から2013年まで宝塚歌劇団星組に所属。退団後、プラサード真理にヨガを師事し、インド中央政府公認 RISHIKESH YOGASHARA認定ハタヨガティーチャー200Hを修了。中村尚人、瀬戸景子にFRPを師事し、マスタートレーナーとなる。STUDIO Oluluリフォーマーピラティス養成コース修了。中村尚人監修『ダンベルヨガ』(ヨガジャーナル)ではアーサナモデルを務めた。出身地の東松山應援團員(観光大使)。アンダーザライト ヨガスクールでは2025年5月よりファンクショナルローラーピラティスのクラスを担当している。

インタビュアー:Hiroshi Funakoshi
2006年からバリ島に移住。UTLでは、インターナショナルリレーションを担当し、海外のパートナーや組織との連携を元ヨガティーチャーの立場から推進。コロナ禍以降は、オンラインヨガ事業の責任者も兼務。

*本記事は2026年8月15日にオンラインで行ったインタビューをもとに構成しています。