住吉美紀 × UTLスクールマネージャー 守田敦子 対談 #1

今年で15周年を迎えたアンダーザライトヨガスクール(UTL)は、どんなスタッフが、どんな思いで作り上げてきたのでしょうか。語ってくれたのはUTLスクールマネージャーの守田敦子さん。そして「オーガニックライフ東京」の司会も務めるフリーアナウンサーでヨガの指導者資格を持つ住吉美紀さん。お二人を迎えて2回にわたる対談をお届けします。

受付スタッフから「ヨガの場所」を作る運営者へ

― 現在、守田さんはUTLを運営する中心的存在ですが、そもそもヨガと出会ったのはいつ頃ですか?

守田 初めてスポーツクラブのヨガレッスンに参加したのが18年前です。その頃はヘルニアを抱えていて身体をなんとかしなくちゃと思って、いろいろと試しているうちにヨガに出会いました。ひとつのことをこんなに長く続けられたのは初めてです。

住吉 「これだ!」という何かがあったわけですね。

守田 そうですね。初めてレッスンに参加したとき、正座ができないというか、真っ直ぐ腰を立てることすらできない自分に気づいていなくて。そこから1年くらい経ってだいぶ可動域が広がり、いろいろな方向に身体を動かすことをまったくしていなかった自分に気づけた部分も含めて、「ヨガはおもしろいかも」と思ったことを覚えています。



― そこからどのようなきっかけで、UTLの運営に関わることに?

守田 私が受けた最初のヨガレッスンは、お年寄りの方が多いビギナークラスでした。その後、ママ友に誘われて参加したパワーヨガのクラスは、それまでのゆっくりとしたヨガとは違い腹筋運動もあって驚きましたが、私にはとても合っていたんですね。ですが、担当していた先生がスポーツクラブを離れることになり、さてどうしようと困っていたところ、似たようなクラスを恵比寿のスタジオで教えている先生がいるとママ友に教えてもらって。それがクランティ先生のアシュタンガヨガのクラスでした。クランティ先生がUTLでマイソールクラスをスタートしたので、私もこちらに足を運ぶようになりました。

住吉 最初は生徒としてUTLにいらして、そこから何をきっかけに運営側に?

守田 当初は週一回くらいのペースで練習に通っていて、あるとき「受付の仕事がありますよ」と声を掛けてもらい受付スタッフになったのが始まりです。

住吉 今では運営の中心に立たれていますね。

守田 はい。UTLのスタッフは女性中心で、いろいろなジャンルのプロフェッショナルが集まっています。そうしたスタッフと一緒に、スタジオ運営だけでなく「オーガニックライフ東京」というイベントなど、いろいろな「ヨガの場所」を作るお仕事を手作り感覚でやらせていただいています。

「身体と哲学を結びつけて伝える」TTを目指して

― 守田さんは他校でティーチャートレーニング(TT)を受講したそうですが、ヨガの指導者資格を取ろうと思ったきっかけを教えてください。

守田 私はTTを受ける前にヨガクラスを指導する機会をいただいたのですが、やはりヨガを伝えるのは難しいなと感じていました。TTを受けた理由は、「ポーズの順番を教えているだけで、ヨガの本当に大切な部分を伝えられていないのでは」と心配になったからです。
振り返ると2006年にヨガアライアンスが日本に来て、その年に最初の認定校ができて、UTLが認定校になったのは2007年。ヨガアライアンスのコースは今と同様、資格のある先生しかリードトレーナーになれず、なので海外で資格を取った外国人の先生に学ぶことが多かったです。私は世界各地の先生たちが日本に集まって行うTTを受講しました。


― ご自身がTTを受講して「本当はもっとこういうことを知りたい」と思った経験が、UTLを運営するうえですごく役立っているとうかがいましたが、具体的には?

守田 私が受けたTTは、その当時では珍しかったマインドフルネスといった最新の講義が揃っていました。世界で活躍する先生たちが集まるTTだったので、私としてはとても楽しかったのですが……。いざ目の前にいるママ友に教えるとなったとき、学んだことを自分の中で消化しきれず自信をなくして教えるのをやめてしまったんです。

住吉 わかります。学んだことを有機的に活用するのって、思っている以上に難しいですよね。特に理論を日常の実践に橋渡しするのが。私もTTを受けた後に工夫と経験が必要だなと思いました。

守田 そうした自分の経験を踏まえて、「哲学、解剖学などそれぞれのプロフェッショナルの先生たちがチームとなり、身体の部分と哲学の部分をしっかり結びつけて体系的に伝えられるTTを作りたい。専門家の教えによって構成されるコースにしたい」と思いました。昔から行われてきたヨガの練習が、どのようにして現在の形になったのかも含めて、私自身が、ヨガの先生として生徒の前に立つときに理解しておきたかった部分を学べるコースにしようと思ったのです。

住吉 TTを受けて「本当に知りたいこと」に対する気持ちが育ったうえで運営に携わったわけですね。ご自身の受講体験はすごく有意義でしたね。

守田 200時間かけて何かを学ぶ機会は、そう何度もやってこないと思うので、やはりちゃんと腑に落ちて、何かのきっけになるTTにしていきたいと思っています。

住吉 そのために必要な、それぞれの分野を担いつなげてくれる先生陣が揃ってよかったですね。

守田 はい。自分自身をアップデートするために勉強を続け、実践を積んでいる先生たちが集まっているから生徒さんに響くクラスができるのだと思います。プロフェッショナルな先生たちが互いを尊重し合い、「生徒さんにとってベストな道はどこなんだろう」と意見し合えるチームであることも誇りです。偏ることなく、ヨガを体系的にバランスよく伝えられる先生たちが教える、本当に充実したTTだと思います。(#2 に続きます



住吉 美紀
フリーアナウンサー/文筆家
小学時代はアメリカ・シアトル、高校時代はカナダ・バンクーバーで暮らす。国際基督教大学(ICU)卒業後、15年間、NHKアナウンサーとして「プロフェッショナル 仕事の流儀」キャスター、「第58回NHK紅白歌合戦」総合司会のほか、海外取材や音楽番組、インタビューや中継番組など多分野にわたって担当。2012年からはTokyo FM朝の情報ワイド番組「Blue Ocean」(月~金、9:00~11:00)のパーソナリティーを務め、気づけばラジオはライフワークに。2020年より夫とオープンしたカフェ「ミアヴァート珈琲」では店のプロデュースや焼菓子製作などを担当している。シヴァナンダヨガ正式指導者資格、NARD JAPAN認定アロマアドバイザー資格保有。著書に「自分へのごほうび」(幻冬舎)。茶道、着物、音楽、ネコを愛する。

守田敦子
UTLスクール統括マネージャー、オーガニックライフTOKYO事務局長、E-RYT500


#1 受付スタッフから「ヨガの場所」を作る運営者へ
#2 瞑想や呼吸法が自然と求められる時代に